「とりかえ風花伝」3巻 柳原望 LALADX ISBN:4592180178

ヒロインと相手役が何故かキスでお互いの身体が入れ替わってしまう、
戦国時代が舞台のおとぎロマンス奇譚最終巻。
史実10%嘘90%の絶妙(?)なバランスです。
一応史実に出てくる登場人物とかもいるんですが、まあキャラは創作…という事で。
1巻のあとがきにも載ってますが、この作品は作者の柳原さんの初期作品「山の貴族」
(掲載は一冊目のコミックス「お伽話を語ろう」)の主役二人を
名前と時代(平安→戦国初期)を変えてリメイクしたもの。天狗×花詠、今思い出すとかなり懐かしい…。
なんせコミックスが出たのが、1994年。なんと既に10年以上。あ、でも主役二人と書きましたが、
次に載ってる「一鬼夜行」まで合わせて読むと実は主役なのは、「山の貴族」では振られ役の中将サマ。
この人の役どころは「とりかえ風花伝」では、信貞サマかなあ。
1巻の信安くんは、キャラがヘタレ過ぎているので却下。
花詠→風花、天狗→白鬼丸の主役組も信貞サマもそうですが、
当時よりもキャラの年齢が上がっているように見える所為か、
それとも基本がシリアスな為か、全体的に大人びて見える…ような気が。
いや、風花は違うかも。成長はしてるけど、基本は千紗みたいな天然系キャラだし。
肝心のお話は、一応は区切りのいい場所まで進んで完結してます。
お伽話シリーズで言うと現実主義者な一清サマが初めて自分の我ままに周囲を巻きこんだ辺り。
=千紗をさらって安住から抜け出した4巻目。
つまり、後書きにもあるけど、この後の達勝・信安の大和守家と伊勢守家との戦って展開は
打ち切りで無しって事ですね(血涙)
ああ、久々に読める柳原さんの戦国モノ(しかも時代設定を今度は割としてる)という事で
進みはゆっくりでもいいから少しでも長く読みたい…と思っていたのですが。無念。
余談ですが、時代モノという事を意識していると思われる、コミックスの表紙絵の塗りは要注目かと。
こういう細かい所にかなり力を割いてくれる作者さんで、白泉社の作家さんの中では一押しの方です。
特に「まるいち的風景」2巻の表紙カバー折込の絵とか
(時代村が舞台だったんですが、それとリンクさせてあって○)
ともあれ、少女漫画+時代物というカテゴリが好きな肩は是非今作を。
終わってしまったのはさておき、次辺りにそろそろ「まるいち的風景」の続きを書いて欲しいです…。
どうか、有里くんに幸せなエンディングを迎えさせてください作者さま。
「ひみつのケータイくん」の続きも読みたいですが、既に最後に雑誌に載ったのは、平成12年。
既に5年程の年月が経っていますが、それでもまだ続きに期待してる読者もいると言う事で一つ。
あ、もう一つ。後書き読んでたら、柳原さんのブログのアドレスが載っていたので掲載。
柳原望Web日記「つれづれやな」…お仕事情報や日々のお話など。
おおっ、「ひみつのケータイくん」7月刊行かあ。しかも「まるいち的風景」も載るみたいだし。
発売日ダッシュ決定。