「Canvas2〜虹色のスケッチ〜」3巻 児玉樹 少年エース ISBN:4047138193

まず、始めに断りますとネタバレ全開でいきます。
というかこんな所まで感想を読みに来るという事は、その覚悟はある、という事で。
さて、本誌最終話収録とほぼ同時に刊行されました。
なので、コンプエースの番外編は、矢張り次の巻でまとめて行うみたいですね。
あと、夏頃に本編+α(多分ですが、エリスエンドのエピローグ部分を中心に描かれるのではないかと)が、
エース本誌に掲載されるみたいなので、それを足して次の最終巻という事になりそうです。
すると、コンプエースもそんなに長く続く訳ではなさそうですね。長くてもあと1回、2回位じゃないかなあ。
先に結末を言いますと、こちらもアニメと同じくエリスエンドです。
でもアニメの終わらせ方よりは、エリスにきっちり焦点をあててますので、納得の行く終わり方だと思いますよ。
と霧派の人間に言わせる位には。正直「こりゃ霧の巻き返しは無理だ…」と思いましたし。
感想は、前巻と同じく各話解説で。※には各話の間に入ってる四コマのコメント。

スケッチ12「再会、そして…(前編)」

さて、そのエリスに焦点をあて出した回第2弾です。
1弾は、前の巻のスケッチ11を参照。ついに柳が撫子学園に登場。
原作だと、この後の幼馴染み三人組の飲み会は、3人だけで行われる筈でしたが、
こちらでは、浩樹の家で、エリスも交えての歓迎会に。
徐々に赤い色へのトラウマを克服していこうとするエリスの姿が、ラスト数ページに。
その前を向こうとするエリスと、後ろを向いたままの浩樹達に繋げるコマはかなりお気に入り。
しかし、この漫画のエリスは本当に健気ですね。
ゲームだとブラコン一直線ってイメージが強いですけど、こっちのエリスは後半着実に成長しようとしてますし。
ゲームになかったセリフと言えば、部長の
「不思議と教え方は上手いんですよね…」
ってのもありました。浩樹が良い指導者をしているって描写はPS2版の部長ルート位でしか
見なかったので、これもその内にカウント出来るかも。
しかし、本編自体では部長ルートのイベントは影も欠片も見る事は出来ないのでしたorz


※カラーページを受けての四コマ。
ぶっきらぼうだけど、ロマンチストってのは漫画の浩樹には確かにピッタリw

スケッチ13「再会、そして…(後編)」

ゲームでは怒涛の勢いで流してイマイチ説得力の無かった柳の罪の告白編。
ここにエリスを間に挟んで、こちらは見事に納得出来るストーリーに。
ただ、エリスルートを通っている為か、浩樹の内面の葛藤自体は、あまり掘り下げていないのが、若干ネックかも。
これだと、昔は霧が好きだったけど、柳との板ばさみと勇気の無さで〜っていうゲームでの描写が潰れてしまうような。
…まあこの辺は霧エンドを見れなかったキャラのファンの愚痴と言う事で。
さて、スケッチ13の一番の見所は、浩樹が絵を捨てた理由を柳から聞いたエリスが、
浩樹を柳の個展へと連れ出して背中を押してあげる所だと思います。
そして、本誌を買っていた自分が「これはエリスルート決定だ…」と思った決め手のエピソードですね。
ちなみに、エリスと柳の修羅場の描写をもっと書いてくれ!と思ったのはここだけの話w


※笑い話になった後のパーティーでのエピソード。
しかし、エリスの料理ネタは、色んな所で大活躍すね。
何と言うか困ったらこのオチで、みたいな扱いだったようなw

スケッチ14「それぞれの思いのかたち」

元々残り話数が指定されていたのか、この辺りからは割と駆け足気味な引っ張り方だったような。
過去をひとまず振り切った(?)浩樹の日常とクリスマスまでの流れを一気に。
個人的にはやる気を取り戻した浩樹の部活風景とか、
他のヒロインキャラとの絡みをもう少しエース本誌の本編でやって欲しかったのですが、
そこまでの余裕はなかったみたいでして。
まあ、元々がアニメとの連動企画なんでしょうから、アニメ終了と同時ってのが、
イムリミットだった、というのには早めに気付いておくべきでした。
しかし、追加キャラの部長と朋子は、さておき可奈や菫のイベントはもうちょい絡めて欲しかったかも。
あとCanvasから藍が初登場。正確には、紗綾の頭の中に一回出てますがw
エリスの祖母とのやりとりは、ゲームにはなかったけど、入れてよかったと思います。
エリスの祖母は、夏に書かれるであろうエピローグにも出てきて欲しいキャラ一人ですね。
追記。部長の「ちゃらんぽらんの〜」って言い回しは、ゲーム内で連呼されてた台詞だったような。


※クリスマスイベントにて。本編ではほとんど出番のない朋子登場の四コマ。
まあ、コンプエースでもほぼありませんが。

スケッチ15「いつか立ち止まった場所から」

スケッチ14のラストを受けて、エリスのパリ校留学が知らされてから、浩樹が絵を描く決意をする所まで。
漫画のエリスは、押しが強いです。ゲームの告白シーンでもあそこまで激しくなかったような。
主人公を押し倒してキスをかますヒロインてのはどうなのかw
しかし、このシーンは漫画屈指のえろい出来だと思うのですがどうでしょう。
オリジナルな展開で気になったのは、エリスが絵を破かなかった所。
ラスト1話を見ると、その理由が分かるのですが、この1話だけ見ると、
ゲームの展開が好きだったので、勿体無いなあ、と思った覚えが。
この回のコメントではないのですが、この漫画は、浩樹がエリスに惚れてく過程を、徐々に挟んであるので、
唐突にヒロインに惚れた、と言う感じがないのでヨイですよ。


※事故で笑わなくなったエリスの笑顔を、取り戻す事が出来た後日のお話。
なんというか、エンディングが確定した後に浩樹と霧のお話を読むと泣けます。

最終話「旅立ちは春」

結局の所、小説は絵についての描写が多く、アニメは24話分の余裕があったので周辺キャラまでエピソードを割け、
そして漫画はエリスと浩樹の絆を中心に描いてきたって事で。
どちらか一方だけでなく、二人分きちんと描いてますんで、ラブストーリーとしても楽しく読めました。
その点は、漫画版が一番出来がいいじゃないですかね。浩樹のキャラを変えたのが良かったとも言えますけど。
しかし、霧姐さんは男前です。最終話振られるシーンは涙無しには見れませんでした。
って締めの一言が↑で終わるとは。でも、霧は本当にいいキャラなんですよ、勿体無い。

その他書き下ろし

カバー裏漫画は、中学生浩樹と、エリスの母アンナとのエピソード。
ここのラストから最終話冒頭に繋がるんですが、この3本と冒頭の部分があると、
事故で笑顔を失ったエリスに絵を描き続けようとする浩樹の動機付けの部分にかなり厚みが出ますね。
あと、「きつねのてぶくろ」にもありましたが、②のタイトルが間違ってるみたいです。
正しくは「まだ未成年だけど→まだ未完成だけど」だそうで。

最後に。

エロゲ原作で、アニメやPS2化の連動企画と言う事でスタートした
原作付漫画という枠の中では屈指の出来だったと思います。
これは作家さんの力量に追う所が大きいと思いますので、
角川の編集さんには、児玉さんにオリジナル漫画なんかを描かせて欲しいなあ。
Canvas2関連のお仕事がひと段落してからでいいので是非読みたいです。