「Canvas2〜虹色のスケッチ〜」4巻 児玉樹 少年エース ISBN:4047138436

最終巻もネタバレ全開です。初連載でゲーム原作だというのにこの長さってのは恵まれていたのではないかと。
本誌のエピローグからコンプエースの番外編(+小冊子)、PS2版に入ってた特典や、VFBの4コマ等など
本編連載以外で掲載された漫画を全収録。もちろん書き下ろしのカバー裏漫画は健在で。
そしてさらにもちろん、単行本化以前に全部手元にあります。
ええ、当然ですとも。我ながらよく集めたもんだとは思いますが(苦笑)さて、今回も各話感想で。
但し少年エース本誌での掲載分は、一番最後にしました。理由は読んでみれば分かりますので…。

EX.スケッチ1「ちょっとだけ背伸びの夏」

コンプエースでの連載1回目。新聞配達のオマケで付いてきたプールのチケットで、出かけよう!というお話。
構成自体は、エクストラシーズンのスケッチ3に似てますね。あっちは浴衣でアピール、こっちは水着で、と言う。
そして、朴念仁な浩樹がエリスを褒めない事に、昔の自分をダブらせつつ霧が叱る辺りが共通かなあ。

「大体あんたって奴は昔っから――…」
「………(ムカムカムカ)」
「…たった一言「可愛い」とか「似合ってる」とか」
「どうしてそんな簡単なことが言ってあげられないのよあんたは――…!」

この辺りとか台詞の内容が似通ってますね。
しかし、布団に潜り込むのと、バスタオル一丁でうろつくのはゲームでもやってましたが、洗濯までw
つくづく漫画の浩樹は主夫なんだなあ、と思ったりしましたよ。
最終的には、大胆水着に着替えてナンパされてるエリスを、浩樹の眼力wで救出という展開でした。
これ(目付きの悪さ)は、漫画版オリジナルのデザインですが(ゲームだと主人公は当然顔なしなので)、
不良教師や兄バカという浩樹キャラの良い部分を上手く抽出してて、
つくづくあのキャラにあったデザインだなあ、と思ったもんです。

EX.スケッチ2「パジャマでおじゃま

コンプエース連載第2回目。PC版撫子3人娘が、浩樹宅に集まってパジャマパーティを、というお話。
本編でもエリスと可奈と菫は、仲良し3人組みたいな感じでしたが(スケッチ8参照)これはその補強材料でしょうか。
あとモテキャラ浩樹の補強にも。生徒からの告白!なんてシーンは原作には無かった様な。
自宅での、「お兄ちゃん」な浩樹の笑顔に可奈と菫が撃沈してるシーンはいいシーンですね。
魅力的なギャルゲーの主人公というのはいいもんです。
あ、今さら可奈の夕食のオムライスだけお子様仕様(旗付)になってるのに気付いたw
この話で一番気に入ってる台詞は、友達が泊まりに来るのを、若い男(=浩樹)がいる家に来るのは感心しない、
と言う理由で断ろうとしている浩樹にエリスが、

エ「それってお兄ちゃんが夜這いに来るから危険ですよって事?」
浩「誰がだッ! 安全安心極まりないわっ!!」
エ「じゃOKだねっ 楽しみだなー♪」
浩「はっ…」←バカ

と言ってあっさり陥落させてしまう辺りです。何と言うか二人の力関係がモロ出ていると言うかw

EX.スケッチ3「FIRST CONTACT」

PS2限定版小冊子からの回です。タイトルの通り、エリスと朋子の出会いを描いています。
きっかけは、エリスがとあるコンクールで入選した事にやっかんだクラスメイトが、
教室内で聞こえよがしに悪口を言っているのに対して、朋子が啖呵を切るというもの。

「ピーチクパーチクうるっさいわね」
「読 書 の 邪 魔。」
「あんた達もあの絵を見たんでしょうに」
「あの絵がコネで入選? ばっ……かじゃないの」
「随分と親切なのねあんたたち」
「自分の見る眼のなさをわざわざひけらかすなんて」

ちょう強気。んで、

「……私は」
「好きよ あなたの絵」

とエリスにフォローを入れていく辺りに漢気を感じさせますね。こりゃエリスも惚れますw
この後保健室で、心臓の発作を起こした朋子をエリスが助けて仲良くなるまでが
この回のエピソードの大まかな流れです。
が、裏のエピソード的な事を言えば美術教師上倉浩樹の日常でしょうか。
と言うか普段の部長と浩樹のやりとりが見れます。隙あらばサボろうとする不良教師と
それを必死に止める部長という構図。
そしてこの回のオチは、イーゼルボンバーでしたw
(初出はエクストラのスケッチ4。もしくは本編スケッチ5エピローグ)


※インターミッション1:ここでそれぞれのキャラについての児玉さんの感想が。
いや、霧が可哀想なキャラってのが分かって頂けてるだけでも読み手側は救われます。
他には可奈と菫が紹介されてました。
児玉さんの可奈は、頭身が上がっていた事もあってか、言動がしっかりしてる事のギャップが少なめでした。
菫は、エクストラシーズンの浩樹との出会い込みで、とても気に入ってるキャラです。
後ろの4コマなんかもそうですが、ゲームとの違いもいい味になってるかと。

EX.スケッチ4「竹内部長の大いなる悩み」

戻って、コンプエース連載第3回目。エリスと自分の才能の差に悩む麻巳に、気付いた浩樹が相談に乗るという流れ。
このエピソードはPS2版でも扱ってた内容で、それを漫画用に直したものでしょうか。
と言っても麻巳ルートではないので、色々違いますが。ページも足りませんし。
でも出来れば、麻巳と浩樹の出会いのエピソードの漫画版とか読んでみたかったなあ…。
ゲームで一番のお気に入りのキャラは部長なので。
しかし、よくよく見ると結構美術部部長伝統奥義が炸裂してますね、この漫画。
そして、この回のタイトル絵は、イーゼル持った麻巳と浩樹です。
しかも「一撃入魂」「サボり魔退散」とか書いてあるしw
最後にお気に入りの台詞紹介。

麻「…まったく やっぱり私がしっかりしなきゃダメですね……」
浩「ははっ それでこそ我らが優秀なる竹内部長だな」
――――やっぱり
先生は相変わらず不真面目でちゃらんぽらんだけど
これはこれでバランスがとれているのかもしれないと
不覚にもそんなコトを思ったりした

漫画版での二人の関係は、この一連の台詞が全てかな、と思ったりします。
この後さっそく、

麻「ほらほら 遊んでないでデッサン指導!」
浩「へーい」

とか言われてますしw

EX.スケッチ5「瞼の女性(ひと)」

この回はコンプエース掲載4回目ですが、付録的扱いで別の小冊子に分冊されてました。
主役は紗綾…かな。いつものサボりポイントを部長に潰された浩樹が、ふらふらしてると武道場から掛け声が。
その声に引かれて覗いて見ると、紗綾が薙刀部の指導中だった。そこを訊ねる浩樹。
学生指導の喜びを語って笑顔になる紗綾に、浩樹はとある人の笑顔を重ねてしまう…、と言うのが序盤の流れです。
その正体は伏せておくとして、そこに昔の女(笑)の影を見たエリスが、霧に相談を持ちかけて、
浩樹が留守の隙を狙って二人で家捜しをする訳ですが。
気付いたらエリスの過去話になってて、紗綾はあんまり出番がありませんでしたorz
ほとんどの所で、妹バカキャラになってたような。多分エクストラのスケッチ5が一番活躍の多い回だったのでは。
さて、EX.スケッチでは一番最初以外にほとんど出番がない霧の台詞を、エリスが相談を持ちかけるシーンから。

霧「や、やーね別に浩樹が誰を想っていようと私には全然――ね!」
エ「はあ… でも霧さん」
エ「お茶こぼれてますよ?」
霧「……あ゛。」

バレバレ霧たん可愛いよバレバレ霧たん。

EX.スケッチ6「喫茶『やどりぎ』へようこそ!」

こちらは再びコンプエース誌内に戻って連載5回目。
タイミング的にPS2版発売後だったので、テコ入れ的な意味合いもあってか、
麻巳のPS2版エピソードに絡めてのお話でした。
PS2版は浩樹がぶらついている所で偶然コーヒーの店を発見して――という流れでしたが、
こちらは、エリスが前々からバイトをしてみたかった喫茶店があって、そこが――という展開で。
いやあ、しかしよくやった児玉さん!感動しました!!の回です、これは。
PS2版テコ入れ要素はあったとは言え、メイド部長ウェイトレス姿の麻巳を見れるとは思ってませんでした。
嬉しい読者サービスでしたね。と言う訳で今回のベスト台詞賞は、

「いらっしゃいませ――!」
「何名様です…… …かぁ!?」

これに決まりで。参照はPS2Canvas2麻巳回想02「秘密の仕事」です。若干違いますが。

「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
「もしお決まりでしたら、ただいま伺います‥‥がっ!?」

いや、結構違うな。記憶ってのは案外当てになりません。まあ、流れ的には…という事で。
あと、実はフリルの衣装が大好きです、のエピソードも入ってたらネ申でした。
「実は、そういう服が好きだとか?」の選択肢が漫画に出てこない事をこれ程うらんだ事はなかった…っ!!
と言っておきましょうw
追記。PS2版の麻巳ルートをやり直してたら同じ台詞を3回目の喫茶店来訪にて発掘。

「いらっしゃいませー、何名様です――かっ!!」

参照は回想07「予期せぬお客様」より。
いや、どっちかって言うとイベントの流れはこっちが近いのかな…?エリスも来るし。


※インターミッション2:今度は朋子と麻巳と紗綾で。
朋子は確かにツンばかりでデレな部分は見れなかった気がします。こ こ ま で は 。
麻巳は違う意味で作中大活躍だったような気が。
メイド部長関連のエピソードはもう少し出番があると尚嬉しかったです。
VFBを読んだ限りでは、このキャラは児玉さんがかなり関わっているように見えました。
でもPS2版では、イーゼルボンバーは炸裂してなかった…かな?w
最後に紗綾。うん、出番が少なめでしたね…としか。
ゲームのお話は結構好きなんですが、如何せんエリスがヒロインなので活躍させ辛かったのかも。

EX.スケッチ7「1%の……?」

コンプエース連載第6回目。同じくPS2版キャラのテコ入れ第2弾と思われます。今度は朋子で。
と言うかゲームでこの二人の人気が元キャラを食ってしまう位に爆発した…ように見えたので。
こちらは、前の麻巳よりはPS2版のルートよりエピソードの展開でした。
モロゲームのネタバレがあるのである程度伏せますが、エリスが朋子を誘って遊園地に出かける、というものです。
序盤には猫好きのエピソードとか。これはゲームでも朋子が道端の猫に餌をやるシーンとかありましたね。
遊園地は出現のさせ方が難しいですが、朋子回想16「みんなで遊園地」と言うお話があったりします。
で、インターミッション2で言ってたデレ部分はここです。猫相手ですが。ちょう甘声で、

朋「んー? おかわりほしいの? 待っててくだちゃいね―――♪」
朋「はいおしまいっ」
猫「にゃっ ごろごろごろごろごろ♪」
朋「そ―――! おいちかったの! よかったね―― ぽんぽんいっぱいだね―――…?」
浩「ぶふっ!」

とか言ってるんですよ、こいつはデレ過ぎです。まあ、終わりに浩樹に見られてこの痴態(笑)がバレてますが。

EX.スケッチ最終話「桜の木の下で」

コンプエース連載最終回。ここから本編にリンクします。
時系列的にはエリスがパリに旅立つ直前なので、3月の半ば位でしょうか。
「卒業祝い兼留学祝い兼皆でお花見パーティ」というごった煮な名目でヒロイン勢ぞろいです。
(一人作中1コマしか出ない人(紫衣)も。無論この最終話も出番無し)
お話は、麻巳→菫→霧と過去の浩樹とのエピソードを繋いで、エリスにバトンタッチ。
最後は、スケッチ1の

エ「桜満開の入学式かあ…」
エ「…ふふっ なんだかそれって嬉しいねっ」
浩「? 何でだ?」
エ「だってほら」
エ「「お前も頑張って花を咲かせろよ」ってそう言ってくれてるみたいじゃない?」

この台詞を受けて、浩樹が満開の桜の下で色々な想いを込めて呟きます。

浩「花は咲くかな」
紗「――ええきっと」
浩「あ、理事長代理…」
紗「ふふっ… 心配なんていりませんわ上倉先生」
紗「あの子達ならきっと大丈夫」
紗「今はまだ蕾のようなものですけれど あんなにも輝いているのですから…」

この後集合写真を撮影して最終話の幕を閉じました。
ここでこう繋いでくるのか、と納得の番外編最終話でしたね。

エピローグ「春色のパレット」

さて、戻って単行本では最初の位置に来る、スケッチ17のエピローグです。
この話はEX.スケッチ最終話を受けて展開しているので、
単行本派の人なら、まずこちらを読まずにあちらから読んだ方がいいですね。
その後、絵を書き始めた浩樹ですが、思うような結果が出ていない事に徐々に焦り始めて…、という流れです。
前話のお花見で咲かない桜の木を見た、浩樹はそれに引っかかりを覚えていて、
考えるのは避けていたけれど、それは自分の今の姿にダブるものがあって…。
桜花展のモチーフが決まらない中、どうしてもその桜が再び気になった浩樹は、その桜の下でスケッチを始める。
それは、キャンバスの中でその「咲かずの桜」の木に再び花を咲かせる為で……!?
再び筆を取ってから自身のブランクに気付き、以前のとのギャップに戸惑いながら、
また絵を描き始めた原点を思い出すまでを描く最終回のエピソードです。
原作では桜花展に出品してエリスパリへ→浩樹も追いかけてパリへ。と一気にお話が飛んでましたが、
こちらはそこにワンクッション入れたものです。
まあ、ヒロインと結ばれる→一気に結婚エンドへというのはこの手のゲームではありがちなんですが、
その間を上手くフォローしています。原作フォロワーという意味で、
この漫画は本当に良い出来だ、と思わせる締めでした。
最後に、自分自身をしっかりと取り戻した浩樹のこの台詞を。
シーンは「咲かずの桜」の下で花を咲かせようとしている所から

子供「―――…わあ…」
子供「―――すごい すご―――い!」
子供「どんどんお花が咲いてく!」
子供「すごいねすごいねお兄ちゃんっ まるでまほうつかいみたい!」
浩樹「……残念ながら魔法使いじゃないなあ」
子供「じゃー花咲かじーさん?」
浩樹「…それもハズレ;」
浩樹「―答えはね」
浩樹「魔法の杖も不思議な灰も持ってない」
浩樹「――だけど絵の具と絵筆があれば」
浩樹「キャンバスの中では枯れた木にも花も咲かせられる そういうただの絵描きだよ」

これでもう浩樹は、自身の絵を描く理由を忘れないのでしょう。
最後はその桜の元でエリスに再会し、その絵を出展した桜花展の結果は…言うまでもないでしょう。


※インターミッション3:最後はメインの二人+柳です。
本当にこの漫画はエリスの物語でした。出番も多いけど、それだけ魅力のあるヒロインでもありました。
お気に入りのヒロインが別でもこのお話の展開に納得してしまう位には。
浩樹は、EX.スケッチでも言ってますが、元がエロゲで定番の顔なし主人公でイメージを掴みづらい所から
よく上手くキャラを抽出したと思います。
この主人公ならヒロインが惚れても納得と言えるようなキャラだったと思います。
最後に柳。このキャラの扱い次第で、幾らでも作品の良さを損ねてしまう重要なキャラでしたが、
この人関連のエピソードも上手くまとまってたと思います。
原作の設定にさらにエリスを絡めて説得力を増していたのが○。

Canvas24こま劇場☆

これは、VFBの書き下ろし4コマからです。
可奈の通り名を考えたり、麻巳が浩樹を脱がしたり(?)、菫がカラオケで○歌を熱唱したり、と
キャラの普段見れないエピソードを中心に数ページ。しかし始めと終わりはエリスのお料理エピソードなのでしたw

その他書き下ろし

今回は間の4コマは無しでした。変わりにインターミッションという事で各キャラの作者感想が載ってますね。
後はあとがきページの書き下ろし、そして毎度のカバー裏漫画です。
5年前、10年前、と来てついにエリスの赤ん坊の頃まで遡ります。
まあ、兄バカはこの頃から健在だった、という事でw
エリスの授業参観の為に自分の授業をサボった上に、それを見つかって怒られたエピソードを、
後日親友の手で本人にバラされる浩樹哀れ。それと、裏表紙の水着絵はどうやら、アニメ版のものだそうで。

最後に。

日付の題名にも書きましたが約2年半の連載お疲れ様でした。
この2年半、本当に次の月の少年エースコンプエースの発売が待ち遠しかったです。
それから、表紙とじの部分にもありましたが、ついに仕事机の購入おめでとうございます!
これで新連載?に向けて準備は万全だと思われますので、是非お待ちしてます。
今度はエース本誌でオリジナルの連載を読みたいです。と思ってるファンの人は少なからずいると思いますので…。