「王国神話」第一夜 明日香々一 富士見ファンタジア ISBN:4829115815

第15回ファンタジア長編小説大賞最終選考問題作「王国神話」。
空から降って来た少女、オルフィナを拾った、シスルーン王国の王子、ディオン。
けれど、オルフィナには困ったクセが。
毎晩のように、ディオンの寝室に潜り込んでくるのだ。
幼い頃はさておき、年頃になるとそのクセにはディオンも参ってしまう。
だが近頃は、その寝姿がまるで死に顔のようで…?
なんと、オルフィナには本人も忘れているある秘密があった…!

当初はドタバタコメディだったものが、出来上がったら創作神話になってました、のびっくり玉手箱。の本作。
実際読んでた自分も表紙の折込に載ってる粗筋読んでなかったら、
普通の甘甘ラブコメだなあ。さらに妹スキー。程度に思ってたかも。
読み進めると、普通のファンタジー世界観が意外な切り崩され方をしてました。
こういう世界設定は面白い。
しかし、これは完全に一話完結の作りだと思っていたので、まさか続編が出るとは。

「王国神話」第二夜 明日香々一 富士見ファンタジア ISBN:4829116269

さて、↑の問題作の続編。
今度は、第一夜のヒロイン、オルフィナの子供達のお話。
甘甘ラブコメっぷりは変わらず。今度は報われない想い、のお話。
以下ネタバレ↓
何と続いては近親相姦ネタ。しかも生まれちゃってるし。
でもあのエンディングの後に続けるとしたら、ディルヴァロッゾに渡したオルフィナの子供、
つまり新しい三支柱は、絶対シスルーンに絡んでくるよなあ、と思ってたら
シスルーンで生まれたオルフィナの子供達、つまり三支柱の弟妹になるとは。
終了。
しかし、一番ツボに来たのは、三つ子兄弟側のシャルと前回も出てきたクロノスのカップル。
優しくはしてくれるけれど、クロノスの瞳に写るのはシャルを通したアストリアだけ。
けど、それも全部分かっていて、「アストリアの次でいいから〜」
等と言い出すシャルは萌え。
それと、1巻・2巻は、どちらかと言うとシスルーン中心のお話だったので、
今度はディルヴァロッゾ中心のお話を読んでみたいなあ。

「まぶらほ〜ふっかつの巻・なんせい〜」築地俊彦 富士見ファンタジア文庫 ISBN:4829116234

現代世界に、万人が魔法が使えるけど、個人の一生での使用回数が決まっている、
さらにその強さには個人差が。という設定を持ち込んだ本作。
こちらは月刊ドラゴンマガジンの短編連載に書下ろしを加えたモノ。

ようやく、元の身体に戻った和樹は、現在夕菜・凛・玖里子にさらに暴走しがちな和樹の魔力を抑える力を持った舞穂と同居中。
さて今回は、夕菜ではなく凛・玖里子が主役のお話が中心の短編集。

↑の通りなんだけど、最近の短編を読んでると凛と玖里子ばかりが
テコ入れさていて、逆に夕菜が冷遇され過ぎな気も。
最初の内は、ちょっと嫉妬深くてたまに暴走しちゃうキャラ、くらいの扱いだったはずが、
今では夕菜はすっかり凶悪嫉妬大魔神に。
読む分には笑えるけど、作中の夕菜のセリフ、

「ふしだら淫売キャラだと信じていたのに純情路線をとるなんて!」

と言わされている辺りは、ヒロインキャラの扱いとして涙を禁じえませんw
逆に、クール系キャラで売っていた凛が実は照れ屋で可愛いなあ、とか。
年上で、迫ってくる玖里子さんは実は純情乙女でした、とか。
キャラのズラしは果てしなく逆走中。
長期連載の短編ギャグだからこそ出来るのかもしれないけど。
ここまで徹底されると、幾らスタートの時点でアドバンテージがあると言っても、哀れな気が。
等と言いつつ、純情路線の玖里子さんはかなり萌える訳ですが。
さて、今巻の一番の見所は後書き。
主に、短編の書き下ろしに登場する、山瀬千早について。
アニメの千早と比較をしながら、書き下ろしの路線について築地さんが語ってくれてます。
次で、決着がつくみたいなので、早めに次巻で出てくれるといいなあ。
……その前に本編はいつでるのだろう。